税務調査のお話
税務調査ってなんだろう?(3)~税務調査への対策は?事前準備では何をすればいい?


税理士の細井です。
 
~税務調査ってなんだろう? パート1【税務調査とは?どんな法人が調査の対象になるのか?】~
~税務調査ってなんだろう? パート2【税務調査の流れ・ポイント・注意点】~
 
の続きのお話です。

税務調査を何度か経験された方でも、「税務調査の度に不安になる」とか、「毎回、同じようなことを指摘される」などと感じたことはありませんか?
 
これらは、明らかに税務調査の事前準備や対策がなされていないからです。
 
日ごろの会計処理が「税務調査で問題になるポイント」を理解したうえで正しく行われていれば、「事前準備や対策」は難しいことはありません。
 
ここでは、税務調査の事前準備や対策について分かりやすく解説したいと思います。

税務調査の事前準備では何をすればいい?

では、税務調査の日までにどんなことを準備すればいいのでしょうか?
 


◎準備その1
経営者と経理担当者による状況把握(意思疎通)

これは「口裏を合せておく」ということではありません。税務調査をスムーズに進めるためにも、経営者と経理担当者の意思疎通と連携が必要です。
調査時に、経営者には業績や概況説明をしていただき、経理担当者には細かな数字について説明してもらいます。わからないことや判断が難しいことを、それぞれが憶測でしゃべってしまうと混乱して無用な疑いをかけられてしまいます。税務調査が長引かないようにするための予防策です。

 


◎準備その2
書棚、金庫、PC内、机等の整理

調査時に調査官から要求された書類をスムーズに出せるように整理しておきましょう。メモや走り書き、付箋等の不必要な書類が混じっていると、調査官からかえって疑いがかけられます。特に経営者の方は、私物(通帳、株取引書類、個人的な契約書等)の整理をしておきましょう。
また、パソコン内のフォルダやメールなども整理整頓しておくことをお勧めします。

 


◎準備その3
勘定科目チェック

調査時の注意点として各勘定科目のポイントを整理しておきましょう。これらは、日ごろの会計処理の段階から注意する必要があります。
 
〇現金
・もっとも重視されるのが現金管理です。帳簿の信憑性は現金管理からです。
・調査日まで正確に記帳できているか?
・領収書と金額、日付が一致しているか?
・帳簿残高がマイナスになっていないか?
 
〇預金
・簿外の通帳が存在しないか?
・大きな金額の入出金は説明できるか?

〇売掛金、買掛金
・期末残高は正確か?
・架空の取引先はないか?
・長期に回収が滞っているものはないか?

〇貸付金、借入金
・役員又は同族関係者との貸借の有無
・借用書のないもの、無利息のものはないか?
 
〇棚卸資産
・棚卸資産の計上した数量、単価、評価方法は正確か?
・貯蔵品計上もれはないか?

〇固定資産
・新規購入資産の資金源泉はどうなっているのか?
・修繕費等に資産計上すべきものが入っていないか?
 
〇売上
・売上利益率の大幅な増減の理由は把握できているか?
・現金売上の漏れはないか?
・期末の売上を翌期に繰り延べていないか?
・自家消費分を計上しているか?
・請求書金額とのズレの有無
 
〇仕入
・納品書、請求書、領収書はきちんと管理できているか?
・売上に対応する仕入れがあるか?
・期末の大量の仕入れで在庫計上すべきものはないか?
 
〇給与
・架空の社員はいないか?
・源泉徴収は正確にされているか?
・出金簿、タイムカード、賃金台帳の整合性
・長期にわたり未払いの人件費はないか?
・議事録はきちんと整理されているか?
 
〇旅費交通費
・領収書のない出金について明細書等で説明がつくか?
・カラ出張はないか?
 
〇交際費
・使途が不明の金額がないか?
・役員賞与となるべきものがないか?
・損金算入の限度は正確に計算できているか?
 
〇保険料
・資産計上すべき積立部分の有無
・役員報酬や給与手当となるべきものはないか?
 
〇地代家賃
・前払家賃を計上した場合は継続適用しているか?
・役員から建物等を借りている場合、不相当に高額な家賃を支払っていないか?
・賃貸借契約書はきちんと整理されているか?
 
〇貸倒損失
・回収不能の要件は満たしているか?
・回収不能となった日の事業年度で、貸倒損失を計上しているか?
 
 
いかがですか?税務調査直前の慌ただしい対策や準備だけでは不十分ですよね?
日ごろから社長はじめ、経理スタッフと税理士を含めたコミュニケーションが大事なのです。
 


税務調査における税理士の役割とは?

最後に、税務調査における税理士の役割についてお伝えしようと思います。
 
税理士は、税務代理の規定に基づく申告、申請、請求、不服申立てについて、納税者を代理できる唯一の存在です。
税務調査の立会いに際し、納税者の主張を補助及び代弁することができるのです。
 
では、税務調査の準備を税理士に依頼するメリットはなんでしょうか?
 
それは、
税務調査に対する経験やノウハウがあり、調査項目の予測ができる
という点にあります。
 
一言に「税務調査」と言っても、納税者の業種や会社規模によって、調査内容や調査官の人数などは変わってきます。
実地調査前に税務署から通知される事前通知の内容を正確に理解することは非常に重要になってきます。
税理士は、調査官の所属や人数から、調査の規模や調査範囲を予想することができます。
また、会社が行った会計処理について、事業年度ごとに調査のポイントになりそうな項目をピックアップし、おおよその想定問答なども予測ができます。
税理士のサポートを受けて事前準備をすることで、実地調査への不安が軽減され、調査官からの指摘事項を軽減させ、スムーズな税務調査対応ができるでしょう。

税務調査の対応には、日ごろからの会計帳簿の整備・確認が必須になってきます。
この機会に是非、顧問税理士の活用を検討されてみてはいかがでしょうか?
 


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